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特にここ↓が重要!!
・呪文や能力の連鎖が解決に入った後も、新しく呪文や能力をプレイできる!
・タイミングによっては、場を離れたクリーチャーも戦闘ダメージを与えられる!
(とりあえずこの二つをおさえておけばなんとか復帰できます!)
1章 スタック
もっとも大きな変更は、スタックの概念の誕生です。
旧ルールでは、呪文や能力は”連鎖”という概念で解決され、
・呪文、もしくは起動型能力がプレイされる
・その呪文/能力に対するインタラプトがすべて解決される
・打ち消されなかったなら、その呪文/能力が”連鎖”に積まれる
・お互いのプレイヤーが新しい呪文/能力をプレイしないことが確定したところで、連鎖の一番最後の呪文もしくは能力から、逆順処理で、連鎖がすべてなくなるまで解決する
・(連鎖に積まれない特殊な呪文や能力として、ダメージ軽減や再生、誘発型の効果などがある)
……というきわめて複雑なものでしたが、
これはすべて忘れてください。
六版ルールでは、ほとんどあらゆる呪文と能力が”スタック”というものに積まれ、同じ手順で解決されます。
また、”インタラプト”という概念はなくなりました。今まで存在していた”インタラプト”は、すべて”インスタント”に変更されています。
スタックを詳しく説明します。
スタックは、旧ルールの”連鎖”とほぼ同じ概念です。呪文や能力がプレイされた順番にスタックに積まれ、解決されるときは逆順処理です。
どこがちがうのか?
・インタラプト関連
まず、インタラプトという概念はなくなりました。したがって、あらゆる呪文/能力は、プレイされた直後に必ずスタックに積まれます。
旧ルールのインタラプトの代表格であるカウンター呪文が、”呪文が連鎖に積まれるのを防ぐ呪文”だったのに対し、6版ルールでのカウンターはインスタントです。他の呪文と同じようにスタックに積まれます。カウンターをはじめ「呪文を対象とする呪文」は、「スタックの上にある呪文」を対象とすることになります。
これは、実際には旧ルールと大したちがいがありません。
旧ルールの例) |
プレイヤーA:White
Knight/白騎士にHoly Strength/聖なる力をプレイ。 だれもインタラプトをプレイしなかったので、Holy Strength/聖なる力が 連鎖に積まれる。 プレイヤーB:White Knight/白騎士にLightning Bolt/稲妻をプレイ。だれもインタラプト をプレイしなかったのでLightning Bolt/稲妻が連鎖に積まれる。 プレイヤーA:対応して、White Knight/白騎士にGiant Growth/巨大化をプレイ。 プレイヤーB:このGiant Growth/巨大化にインタラプトしてCounterspell/対抗呪文を プレイ。さらにインタラプトがプレイされないので、Giant Growth/巨大化 が打ち消される。 だれも新しい呪文/能力をプレイしないので、Lightning Bolt/稲妻が解決され、White Knight/白騎士は破壊される。その後、Holy Strength/聖なる力は対象が不適正のためにfizzle/立ち消えとなる。 |
六版ルールの例) |
プレイヤーA:White
Knight/白騎士にHoly Strength/聖なる力をプレイ。 即座にスタックに積まれる。 プレイヤーB:White Knight/白騎士にLightning Bolt/稲妻をプレイ。 即座にスタックに積まれる。 プレイヤーA:対応して、White Knight/白騎士にGiant Growth/巨大化をプレイ。 これも即座にスタックに積まれる。 プレイヤーB:スタック上のGiant Growth/巨大化を対象にしてCounterspell/対抗呪文 をプレイ。スタックに積まれる。 だれも新しい呪文/能力をプレイしないので、 |
旧ルールでは連鎖の解決が一度始まってしまうと、すべて解決されてしまうまで新しい呪文や能力はプレイできませんでした。六版ルールでは、これも変更されています。
スタックの一番上の呪文もしくは能力が解決された時点で、プレイヤーにはまた呪文/能力をプレイする機会が与えられるのです(もちろん、インスタントに限りますが)。
上記の例で言えば、Giant Growth/巨大化が打ち消されたのを知ったプレイヤーAが、スタックの上のLightning
Bolt/稲妻を対象にBlue Elemental Blast/青霊破をプレイする、とかいう芸当もできます。Lightning
Bolt/稲妻の解決前にJayemdae Tome/ジェイムデー秘本でカードを引き、引いてきたUnsummon/送還でWhite
Knight/白騎士を逃れさせることもできます。
いずれのプレイも、旧ルールではできないことでした。
スタックのルールは、優先権(priority)という概念が重要なのですが、多少かたっくるしい説明になると思うので、別項にまとめました。ルールを徹底させておきたいという方は、読んでください。
・再生とダメージ軽減
旧ルールにおいて、再生とダメージ軽減の呪文/能力は、それぞれクリーチャーが破壊されたりダメージを与えられた場合にだけプレイでき、インタラプト以外では対応できない特別な存在とされていました。
この例外条項ももはや存在しません(例外が限りなく少なくなっているのが六版ルールのすぐれた点です)。再生やダメージ軽減の呪文/能力は他の呪文/能力と同じようにスタックに積まれ、解決されます。
再生やダメージ軽減が解決されると、そのクリーチャーに”盾”が生成される、という概念がいちばんわかりやすいでしょう。
たとえば、Drudge Skeleton/蠢く骸骨にLightning
Bolt/稲妻がプレイされたとしましょう。
旧ルールでは、このLightning Bolt/稲妻が解決された後、ダメージを与えられて「破壊されつつある時」に再生能力を使う、というわかりにくいものでしたが、六版ルールではすべてシンプルにスタックで処理します。Lightning
Bolt/稲妻がスタックに積まれた後、対応して骸骨の再生能力をスタックに積めばいいのです。
再生能力が解決されると、そのクリーチャーに1枚だけ”再生の盾”が与えられます。この再生の盾は、次にそのクリーチャーが破壊されるとき、文字通り盾となって消滅するかわりに、破壊を防ぎます(もう少しルールに厳密な言い方をするなら、「破壊効果を、”そのクリーチャーをタップし、すべてのダメージを取り除く”という効果に”置換”」します)。
したがって、旧ルールとはちがって再生の呪文/能力はいつでもプレイできます(余ったマナを再生能力につぎこむ――、といった処理はよく見られます)。
ダメージ軽減も同じです。ダメージ軽減の呪文や能力が解決されると、”ダメージ軽減の盾”が発生します。次にそのクリーチャーやプレイヤーにダメージが与えられるとき、盾が消滅し、かわりにダメージをそのぶん減らします。もちろん、ダメージ軽減もいつでもプレイできます。
使われなかった再生やダメージ軽減の盾は、ターン終了時に消滅します。
”いつでもプレイできる”ということ以外は、表面的にはさほど変更されたように見えません。むしろわかりやすくなっていると思います。
・誘発型能力
誘発型能力(triggered ability)は、旧ルールでは誘発効果とかtriggered
effectとか呼ばれていたものです。代表的なところでは、Nekrataal/ネクラタル(VI)などの”場に出たとき〜する”という能力です。
旧ルールでは、これらは即座に解決され、例外を除いては呪文や能力で対応することができませんでした。六版ルールでは、これら誘発型能力もすべてスタックに積まれます。
たとえば、旧ルールではNekrataal/ネクラタル(VI)が一度場に出てしまったら、クリーチャーが死ぬのを防ぐことはできませんでした。
例) |
場にはAir Elemental/大気の精霊とMahamoti
Djinn/マハモティ・ジンがいます。 そこで対戦相手がNekrataal/ネクラタル(VI)をプレイしました。 このNekrataal/ネクラタル(VI)の呪文に対応して、Unsummon/送還でMahamoti Djinn/マハモティ・ジンを手札に戻して守ることはできますが、Air Elemental/大気の精霊が殺されてしまいます。Air Elemental/大気の精霊を戻せば死ぬのはMahamoti Djinn/マハモティ・ジンです。 ところが六版ルールでは、両方ともNekrataal/ネクラタル(VI)から守ることができるのです。 |
・フェイズ開始時の誘発型能力
旧ルール(というか昔のカード)では、”あなたの[フェイズの名前]の間に〜する”という、特定のフェイズに誘発する効果が多数存在しました。たとえばIvory
Tower/象牙の塔(AQ)やHowling Mine/吠えたける鉱山がそうですし、Lord
of the Pit/奈落の王のようないわゆる”アップキープ・コスト”も、フェイズ誘発型能力です。
これらについては、ふたつの変更点があります。
まず、”[フェイズの名前]の間に〜(during [phase]
〜)”という表記はすべて、”[フェイズの名前]の開始時に〜(at the beginning of
[phase] 〜)”という表記に変更されました。
そして、これらの誘発型能力もまた、すべてスタックに積まれます。
旧ルールでは、”[フェイズの名前]の間に〜する”という誘発型能力は、そのフェイズの間のいずれかの時点でコントローラーの任意に誘発できました。
六版ルールでは、フェイズ誘発能力は、そのフェイズの開始時にスタックに自動的に積まれます。そして、通常の呪文/能力と同じように解決します。
さらに、フェイズ進行自体にも変更があるのですが、これは後述します。
複数の誘発型能力が同時に誘発する場合があります。Lord
of the Pit/奈落の王とForce of Nature/大地の怒りを両方コントロールしている状態でアップキープを迎えたり、Living
Death/生ける屍(TE)でNekrataal/ネクラタル(VI)とMan-o'-War/大クラゲ(VI)が場に出たりした場合です。
複数の誘発型能力が同時に誘発した場合、アクティヴプレイヤー(ターンを行っているプレイヤー)がまず自分のコントロールする誘発型能力を任意の順番でスタックに積み、その後で非アクティヴプレイヤーが自分のコントロールする誘発型能力を任意の順番でスタックに積みます。
・マナ能力
スタックに積まれないほとんど唯一の例外が、このマナ能力(mana
ability)です。
ミラージュ以降のルールで、マナを出す呪文や能力が”マナソース”という形で、ほとんど神聖視されていたルールを憶えている方がいるかもしれません。また、それよりもっと古く、土地やアーティファクトからマナを出すのがインタラプトであるというルールで憶えている方もいるかもしれません。
それらはすべて忘れてください。
土地その他のパーマネントがマナを生み出す能力は、マナ能力(mana ability)というものになりました。以前は、たとえ呪文や能力をプレイできないタイミングでもマナを生み出せましたが、もうそのルールは存在しません。マナ能力は、呪文や能力をプレイする権利(優先権のことです)を持っているとき、もしくはマナを支払うように要求されたときのみプレイできます。また、マナ能力はスタックに積まれずに即座に解決され、マナを生み出します。
ただ、これによってなにが変わったかというと、実は旧ルールとほとんど変わっていません。
もうひとつ、現在のルールでは、呪文や能力をプレイすることを宣言してから、必要なマナのためにマナ能力をプレイすることができます。プレイする呪文を手札から見せた後でマナコスト分の土地をタップするプレイが多く見られます。古いプレイヤーの方は面食らうかもしれません。
また、このルールによって、次のようなちょっと不思議なプレイが可能になります。
プレイを宣言してからマナを生み出す例) |
・Skyshroud Elf/スカイシュラウドのエルフ(TE)の、1マナを支払って白マナを得る能力をプレイ。 ・Ashnod's Alter/アシュノッドの供犠台(AQ)でこのSkyshroud Elf/スカイシュラウドのエルフ(TE)自身をsacrificeし、生み出したマナでこの能力のマナコストを支払う。 |
さらにもうひとつ。Dark Ritual/暗黒の儀式をはじめとするマナを生み出す呪文は、すべてインスタントに変更になっています。したがってカウンターできますし、通常通りスタックに積まれて逆順処理を待つことになります。マナ能力ではないので、他の呪文や能力のプレイを宣言してからDark
Ritual/暗黒の儀式を使うことはできません。
Dark Ritual/暗黒の儀式に対応してAbeyance/中断(WL)を使われたら、手札のソーサリーやインスタントを使えないままマナバーンを迎えるかもしれません!
2章 フェイズ進行
六版ルールでは、ターンのフェイズ構造も刷新されました。とは言っても、表面的にはあまり変わっていないのですが。
旧ルールのフェイズ構成はこうでした。
1)アンタップフェイズ
2)アップキープフェイズ
3)ドローフェイズ
4)メインフェイズ
5)ディスカードフェイズ
6)クリンナップフェイズ
六版ルールでは、”フェイズ”にくわえ、”ステップ”という、フェイズをさらに分解した概念が登場しました。また、旧ルールでは戦闘はメインフェイズの一部でしたが、六版ルールでは二つのメインフェイズにはさまれた独自のフェイズとして確立されました。
1)開始フェイズ
・アンタップステップ
・アップキープステップ
・ドローステップ
2)第一メインフェイズ
3)戦闘フェイズ
・各種戦闘ステップ(後述します)
4)第二メインフェイズ
5)終了フェイズ
・ターン終了ステップ
・クリンナップステップ
以下、旧ルールとの変更点を中心に解説します。
・開始フェイズ
旧来のアンタップ・アップキープ・ドローの3フェイズは、ひとつのフェイズにまとめられました。
アンタップステップでは、プレイヤーには呪文/能力をプレイする権利(優先権のことです)が与えられません。従って、旧来のアンタップフェイズとほとんど同じです。
アンタップステップ中になんらかの誘発型能力が誘発した場合(たとえば、Coffin
Queen/棺の女王(TE)がアンタップした場合などです)、それはアップキープステップの開始時まで待ってから誘発します。
アップキープステップ開始時に、アップキープ誘発型能力がすべてスタックに積まれ、そのあとでプレイヤーには呪文/能力をプレイする権利が与えられます。
先述したとおり、”アップキープの間に〜(during one's
upkeep 〜)”及び”アップキープ終了時に〜(at the end of one's
upkeep 〜)”というテキストは、すべて”アップキープ開始時に〜(at the beginning of one's
upkeep 〜)”というテキストに訂正されています。注意してください。
ドローステップ開始時には、通常ドローがあたかも誘発型能力のようにスタックに積まれます。
ドローステップ開始時に通常ドローはスタックに載らずに解決されるようになりました。(8thルール改正)
アンタップ〜ドローまでがひとつのフェイズであることに留意してください。マナバーンのチェックは、旧来と同じくフェイズの終了時です。したがって、六版ルールでは、アップキープに出したマナをドローステップまで持ち越せるのです。
・第一メインフェイズ、戦闘フェイズ、第二メインフェイズ
二つにわかれているのは、戦闘をフェイズとしてわかりやすくするためで、特に変更はありません。あいかわらず、土地を置けるのは1ターンに1枚だけですよ。メインフェイズが二つあるからといって2枚置けるわけではありません。
戦闘フェイズは、細かい変更点がいくつもあるので、次章に回します。
・終了フェイズ
ターン終了ステップの開始時に、”ターン終了時に〜(at the end of turn 〜)”と書かれている誘発型能力が誘発します。また、ディスカードフェイズはなくなりました。なので、ディスカードフェイズにどうこうする能力(たとえばNecropotence/ネクロポーテンス(IA)など)も、このターン終了ステップに解決します。
六版ルールでは、ターン終了時に誘発する能力は、このステップの開始時に一度だけ誘発します。したがって、ターン終了ステップの間にプレイされた呪文/能力に”ターン終了時に〜(at
the end of turn 〜)”と書かれていた場合、妙な話ですが、それは次のターンのターン終了ステップ開始時ということになります(実際、この妙な点をついたWhite-Lightningという戦術が開発され、速攻でエラッタによる事後処理を受けています)。
たとえば、自分のターン終了ステップ中にCorpse
Dance/死体のダンス(TE)を使って、墓地にいるLord
of the Pit/奈落の王を釣り上げたとします。すでにターン終了ステップの開始時は過ぎていますから、このLord
of the Pit/奈落の王がゲームから取り除かれるのは次の(相手の)ターンのターン終了ステップ開始時、ということになります。
この変更により、Ivory Gargoyle(AL)とAEther
Flash/上天の閃光(WL)で永久ループが発生するといった問題はなくなりました。
ターン終了ステップが終わると、クリンナップステップです。ここでは、なにか能力が誘発しない限り(めったにありませんが)プレイヤーは呪文や能力をプレイできません。
手札が7枚になるようにディスカードするのはこのクリンナップの間です。したがって、旧来のルールのように、相手がディスカードしたあとでなにか呪文や能力を使うことはできません。ディスカード=即座にターンの終わり、というふうに憶えておいてください。
また、クリンナップステップはゲームの構造上とばせませんから、ディスカードフェイズをとばす(skip
one's discard phase)というテキストはすべて”手札の許容最大数の制限はない(have
no maximam hand size)”という表記に訂正されています。(Anvil
of Bogardan/ボガーダンの金床(VI)がNecropotence/ネクロポーテンス(IA)に効果覿面だったのはすでに過去の話です!)
第3章 戦闘の詳細
戦闘も細かく変更されました。六版ルールでは、戦闘は戦闘フェイズという独立したフェイズで行われ、以下のようなステップにわかれています。
1)戦闘開始ステップ
2)攻撃クリーチャー指定ステップ
3)ブロッククリーチャー指定ステップ
4)戦闘ダメージステップ
5)戦闘終了ステップ
・戦闘開始ステップ
旧ルールでは、戦闘の開始と攻撃クリーチャーの指定は同時でしたが、六版ルールではなぜか、戦闘がはじまってから攻撃クリーチャーを指定するまでのあいだに呪文や能力をプレイできる機会が与えられます。
クリーチャーをタップして攻撃を防ぐのは、このステップで行うのが吉でしょう。
旧ルールでは、相手のメインフェイズ中にクリーチャーをタップしなければいけませんでした。なので、相手の攻撃宣言に待ったをかけてIcy
Manupilator(IA)でIronclaw Orcs/鉄爪のオークをタップしたら、「じゃあ」とか言われてBall
Lightning/ボール・ライトニング(DK)を召喚されて痛い目を見たりしたものですが、もうその心配はありません。
・攻撃クリーチャー指定ステップ
このステップの開始時に、攻撃側プレイヤーは攻撃に参加するクリーチャーを指定し、タップします。それが終わらない限り、呪文や能力はプレイできません。このへんは旧ルールと同じですね。
・ブロッククリーチャー指定ステップ
このステップの開始時に、ブロック側プレイヤーはブロックに参加するクリーチャーを指定し、ブロックに割り振ります。”ブロックされなかったら〜”とか”ブロックされたら〜”などの誘発型能力が誘発するのもこのステップです。くどいようですがこれらの誘発型能力もスタックに積まれます。
ブロックされなかったクリーチャーにBlood
Lust/血の渇き(LE)をぶちかましたり、小さなブロッククリーチャーででかい攻撃要員を倒すためにGiant
Growth/巨大化したりするのもこのステップがいいでしょう。
さて、ここからが少々ややこしいところです。
このステップ開始時に、攻撃とブロックに参加しているすべてのクリーチャーの戦闘ダメージが、あたかも呪文か能力かのようにスタックに積まれます。
スタックに積まれようがなにしようが、即座にダメージが与えられてしまえば旧ルールと変わらないのですが、やはりというかなんというか、戦闘ダメージがスタックに積まれた後もプレイヤーは呪文や能力をプレイできるのです。
戦闘の例) |
プレイヤーAは、Mogg Fanatic/モグの狂信者(TE)とBall
Lightning/ボール・ライトニング(DK)で攻撃を宣言しました。 プレイヤーBは、Grizzly Bears/灰色熊でMogg Fanatic/モグの狂信者(TE)をブロックし、Ball Lightning/ボール・ライトニング(DK)はブロックしないことを宣言しました。 二人ともなにもプレイしないので、戦闘ダメージステップに入ります。 スタックに積まれてしまった以上、発生源がどうなろうと影響がないのがM:tGの鉄則。そして、Mogg
Fanatic/モグの狂信者(TE)がGrizzly
Bears/灰色熊に殺されてしまうまでに、プレイヤーには呪文や能力をプレイする機会があります。 他には、Rainbow Efreet/虹のイフリート(VI)で相手のクリーチャーをブロックし、戦闘ダメージがスタックに積まれた後でフェイズアウトし、一方的に3点ダメージを与えるという、通称”当て逃げ”と呼ばれる戦法もあります。 |
なお、タップ状態のブロッククリーチャーが戦闘ダメージを与えない、というルールは廃止されました。
・戦闘終了ステップ
戦闘終了時に誘発する誘発型能力が、このステップの開始時にスタックに積まれます。その後で、プレイヤーには呪文や能力をプレイする機会が与えられます。
4章 サブタイプ
カードの種類が明確に系統だてられました、旧ルールで曖昧(カードに書かれずに説明されなければ判らない例外条項)だった内容が整理されたと思われます。
・カードタイプ
タイプには、アーティファクト、クリーチャー、エンチャント、インスタント、土地、ソーサリーがある。
オブジェクトの中には、複数のタイプを持つものもある(例えば、アーティファクト・クリーチャー)。この類のオブジェクトは、そのいずれかのタイプに適用される効果は全て適用される。
・サブタイプ
・アーティファクト
サブタイプとして「装備品(Equipment)」が存在します、詳細はブロック解説のミラディンブロックを参照して下さい。
・クリーチャー
サブタイプとして種族や職業を持ちます。ラヴニカの規定に合わせて知的種族には種族と職業の両方がかかれている場合があります、再録されたカードに関しては最新のオラクルを確認することをオススメします
・エンチャント
サブタイプとして「オーラ(Aura)」が存在します、これは旧ルールでいうエンチャント(クリーチャー)等のローカルエンチャントの事で「対象を取っている」部分やカードタイプの場所にクリーチャーと書かれて初心者に勘違いされやすいので修正されたものです。今後は文章欄にエンチャントできる対象の種類が書かれる事になります。(9thルール改正)
・土地
土地には山・森・平地・島・沼等のサブタイプがある、他にもウルザ地形などもサブタイプで記述されています。
・インスタント
・ソーサリー
神河ブロックには独自のサブタイプ「秘儀(Arcane)」が存在します、詳細はブロック解説の神河ブロックを参照してください。
・特殊タイプ
カードタイプの直前に書かれている物です。それぞれに特徴があります。
・特殊タイプ「基本/basic」はその土地が基本土地である事を示しています、この特殊タイプを持たない土地は基本でない土地である。
・特殊タイプ「伝説の/legendary」は過去のレジェンドルールを持たせた物で、同名のカードが場に存在した場合は共に墓地に置かれます。
・特殊タイプ「ワールド/world」は過去のワールドルールを持たせた物で、「ワールド/world」を持つパーマネントは一番後に置かれた物を除いて墓地に置かれます。
・特殊タイプ「雪かぶり/snow-covered」という特殊タイプを持つ土地は、雪かぶり 土地である。
5章 その他
その他、細かい変更を紹介します。
・プレイヤーのライフが0以下になることによる敗北
旧ルールでは、プレイヤーのライフが0以下になっているかどうかのチェックはフェイズの終了時に行われていました。六版ルールでは、この死亡チェックは”プレイヤーが呪文や能力をプレイできる機会を与えられるたび”に行われます。ライフが0=即死、と考えて差し支えないでしょう。したがって、コンボの回転中に大量のライフを支払ってそれを致死量のDrain Life/生命吸収でリカヴァーするPros-Bloomなどのデッキは、かなりの不利を被ることになりました。
・タップ状態のアーティファクトについて
旧ルールでは、タップ状態のアーティファクトは”スイッチが切れた”状態であり、常在型能力は無視され、起動型能力はプレイできない、というルールがありました。これのせいで、そもそもMana
Vault/魔力の櫃は4マナ払ってもアンタップできないのではないかという議論が起きたり、Sands
of Time/時の砂(VI)がわけのわからない動きを生み出したりしました。
なので、このルールは廃止されました。
ただし、Prisonが大好きな方、悲観することはありません。いくつかのアーティファクト・カードにはエラッタが出され、カードテキストによって、タップ状態で”スイッチが切れた”状態になるように訂正されています。この訂正は、タップして嬉しい代表格であるWinter
Orb/冬の宝珠、Howling Mine/吠えたける鉱山、Static
Orb/静態の宝珠(TE)などに出されています。
・キーワード化された能力について
今まで長いカードテキストで表されていたいくつかの能力が、飛行やトランプルなどと同じようなキーワード能力に格上げ(?)されました。
Haste (速攻):これまで、「召喚酔いに影響されない(unaffected by summoning sickness)」と表記されていた能力です。あるいはもっと古いカードだと、「場に出たターンに攻撃に参加したり、コストに(T)を含む能力をプレイできる」とか書かれているかもしれません。
Fear (畏怖):これまで、「黒かアーティファクト以外のクリーチャーによってはブロックされない」と表記されていた能力です。キーワードになってしまったため、Sleight of Mind/臨機応変などによって「黒」のところを他の色に書き換えても、それはカッコの中の注意書きが書き換えられるだけであって、能力には変化がありません。
Vigilance (警戒):これまで、「攻撃に参加してもタップしない」と表記されていた能力です。能力には変化はありません。(神河ルール改正)
Defender (防衛):このクリーチャーは攻撃に参加できない、これまでクリーチャータイプ「壁」が持っていた能力です。壁というクリーチャータイプに制約は無くなり、既存の壁には防衛という能力が付きます。(神河ルール改正)
Flash (瞬速):これまで、「あなたはこの呪文を、あなたがインスタントをプレイできるときならいつでもプレイしてよい。」と表記されていた能力です。能力には変化はありません。(時のらせんルール改正)
Lifelink (絆魂):これまで、「このパーマネントがダメージを与えるたび、あなたはその点数に等しい点数のライフを得る。」と表記されていた能力です。能力には変化はありません。(未来予知ルール改正)
Reach (到達):これまで、「[このクリーチャー]は飛行を持つかのようにブロックできる」と表記されていた能力です。能力については飛行と合わせて調整されました。(未来予知ルール改正)
Flying (飛行):飛行を持つクリーチャーは、飛行も到達も持たないクリーチャーによってブロックされない。飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。に修正されています。これによって飛行によってしかブロックされない生物は大蜘蛛などではブロックされなくなりました、再逆転裁定です(未来予知ルール改正)
Shroud (被覆):これまで、「このパーマネントやプレイヤーは呪文や能力の対象にならない。」と表記されていた能力です。能力には変化はありません。(未来予知ルール改正)
Poisonous (有毒):これまで、「このクリーチャーがいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは毒カウンターをN個得る。」と表記されていた能力です。能力には変化はありません。(未来予知ルール改正)
・マナ・コストの無いカード(逆転裁定)について
*** ルールの変更: ***
マナ・コストの無いオブジェクトに関するルールは変更になる。これまでは、マナ・コストの無いオブジェクトは呪文としてプレイできないことがルールで規定されていた。
これらのルール(rule 213.1a と rule 401.1b、内容は同一)は、「存在しないマナ・コストは支払うことができない」に変更になる。
この変更は、時のらせんの待機カードのうちのいくつかや、神河救済の《常在精神/Evermind》に影響する。
マナ・コストの無いカードは、通常は呪文としてプレイできない。
401.9hにおいて、存在しないマナ・コストを支払うことは不可能だからである… (注:これはコストが{0}の呪文とは異なる。これはコストであり支払うことができる)。呪文のプレイに何らかの追加コストが与えられる場合であっても、マナ・コストの無いカードはプレイすることができない。「{ }+{1}」は不可能な計算だからである。
これらのカードをプレイする何らかの方法、例えば、マナ・コストを支払わずにプレイする等の方法が存在すれば、それを呪文としてプレイすることができる。これは、「マナ・コストを支払わずにプレイする」ことを認める効果によって(例えば待機や《呪文乗っ取り/Spelljack》等)や、代替コストでプレイすることを認める効果(例えば《太陽の拳/Fist of Suns》等)によって可能である。
マナ・コストの無いカードの点数で見たマナ・コストは0である。
・+1/+1カウンターと−1/−1カウンターについて
いずれかのパーマネントの上に+1/+1カウンターと−1/−1カウンターが置かれている場合、その上から+1/+1カウンターと−1/−1カウンターを同じ数だけ取り除く。これは新たに追加された状況起因効果です(時のらせんルール改正)
・Legend(伝説)について
これまでのクリーチャータイプ「伝説」に関してのルールが変更されました。従来のクリーチャータイプ「Legend(伝説)」は「伝説の〜」というサブタイプに変更され、先だしルールが無くなり同名の伝説カード全てが墓地に置かれる事になりました。(神河ルール改正)
・トランプルについて
トランプル能力は、テンペストブロックまでは
「クリーチャーに与えられた戦闘ダメージのうち、致死ダメージを超過した分をブロック側プレイヤーに移し替える」という能力でした。したがって、Furnace
of Rath/ラースの灼熱洞(TE)が場にある状態でBall
Lightning/ボール・ライトニング(DK)を1/1クリーチャーでブロックしたりすると、ダメージ倍加が2回誘発してあっというまに人が死んだりしました。
現在のルールでは、トランプルは以下のように変更されています。
まず、トランプルを持つクリーチャーがブロックされた場合、すべてのブロッククリーチャーに致死ダメージが与えられるようにダメージを割り振らなければいけません。そうして、割り振った後も余剰のダメージがあれば、それをブロック側プレイヤーに割り振ることができます。余剰のダメージをさらにブロッククリーチャーに割り振ってもかまいません。
このルール変更は、普通にトランプルクリーチャーを1体のクリーチャーでブロックしたときには、旧来のルールとほとんど変わらない結果になります。
ちがいが出るのは、複数体でブロックしたとき、それからプロテクションを持つクリーチャーでブロックしたときです。
トランプルダメージの割り振りの例) |
プレイヤーAがBall Lightning/ボール・ライトニング(DK)で攻撃しました。 プレイヤーBはこれをLlanowar Elves/ラノワールのエルフとCarrion Ants/屍肉蟻でブロックしました。 以前のルールでは、Llanowar
Elves/ラノワールのエルフに6点すべてを与えて5点のトランプルダメージを突き抜けさせることができたのですが、現在のトランプルは、必ずすべてのブロッククリーチャーに致死ダメージを割り振らなければいけません。 |
もうひとつ重要なちがいとして、トランプルは今やプロテクションを貫通します。
旧来のルールでは、トランプルのダメージはすべていったんクリーチャーに与えられた後に移し替えられていたため、そのクリーチャーが該当するプロテクションを持っていたりすると移し替える以前にダメージがすべて軽減されていました。
現在のルールでは、トランプルはダメージの割り振りです。したがって、ブロッククリーチャーが該当するプロテクションを持っていたとしても、軽減できるダメージはそのクリーチャーに割り振られたダメージだけなのです。
・デュエルのやり方についてのルール
先手プレイヤーの最初のドロー無しが、ルールで規定されました。
また、手札に土地がない場合/手札がすべて土地の場合に一度だけマリガンできる、というルールは廃止されました。
現在のマリガンは”パリマリガン”という形式を採用しています。プレイヤーはデュエルが始まる前に何度でもマリガンをしてかまいませんが、1度マリガンをするたびに最初の手札が1枚ずつ減っていきます。この形式では、マリガンをするときに対戦相手に手札を見せる必要はありません。
パリマリガンは、先手のプレイヤーが初手を見て納得いくまでマリガンした後、後手のプレイヤーが初手を見てマリガンします。まあ、カジュアルプレイなら二人同時に手札を確認してもかまいませんが。
・ミラージュ発売時に変更されたダメージのルール
ミラージュ発売以前は、呪文や能力が与えるダメージの効果だけは連鎖がすべて解決された一番最後にまとめて適用されるという奇妙なルールがありました。このルールも廃止されました。
ミラージュ以前のルールでは、White
Knight/白騎士にHoly Strength/聖なる力をエンチャントしようとしたのに対応してLightning
Bolt/稲妻を撃っても、Lightning Bolt/稲妻のダメージは連鎖の最後、Holy
Strength/聖なる力がエンチャントされてしまった後に適用されたため、White
Knight/白騎士を殺せませんでした。
現在のルールでは、呪文や能力のダメージは解決と同時に適用されます。
ここでは、優先権とスタックとフェイズ・ステップ進行についてを、厳密なルール用語で詳しく解説します。きちんとしたルールを理解したい人は、お読みください。
・優先権(priority)
優先権とは、呪文や能力をプレイする権利のことです。
フェイズやステップの開始時に、タイミングによって誘発するすべての誘発型能力がスタックに積まれたあと、アクティヴプレイヤー(ターンを行っているプレイヤー)がまず優先権を得ます。
いずれかのプレイヤーが優先権を得た時点で、以下の状況起因効果をチェックし、処理を行います。
状況起因効果は即座に適用されます。したがって、以前のルールのように、同名の伝説の土地の2枚目を場に出し、それが墓地に置かれる前にマナを出す、といったプレイはできません。
逆に言えば、プレイヤーが優先権を得ない限りはこれらのチェックは行われません。たとえば、旧ルールではMaro/マロー(MI)をコントロールしている状態でScroll Rack/巻物棚(TE)を起動して手札を全て交換すると、能力の解決中に一時的に手札が0枚になるためにMaro/マロー(MI)が墓地に置かれたりしましたが、現在のルールではそのようなことは起きません。
チェックが終わったら、優先権を持つプレイヤーは呪文や能力をプレイできます。優先権を持っている間は、呪文や能力をいくつでもスタックに積み上げてかまいません。それ以上プレイしないのであれば、優先権をパスします。
優先権がパスされた場合、今度は対戦相手が優先権を得ます。同様に状況起因効果のチェックを行った後、対戦相手は好きなだけ呪文や能力をスタックに積むことができます。それ以上プレイしないのであれば、優先権をパスします。優先権はまたアクティヴプレイヤーに戻ります。
すべてのプレイヤー(通常は二人ですが)が連続して優先権をパスした場合、スタックの一番上にある呪文/能力を解決します。解決が終わった後で、アクティヴプレイヤーは再び優先権を得ます。
すべてのプレイヤーが連続して優先権をパスし、なおかつスタックの上に呪文や能力が積まれていない場合、そのフェイズもしくはステップが終了し、次のフェイズもしくはステップに進みます。
優先権・スタック・フェイズ進行を厳密に表記すると、上記のようになります。やってみると旧来のルールとあまりかわりがないのですが。
*1)杉井光氏の2CHDファンサイトから許可をいただいて転載したものです
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